──ご夫婦として長い歳月を仲良くお過ごしになっています。夫婦円満の秘訣はありますか。
新吾さん:自分の内に小さな不満を内に溜めたままにしないから、それがケンカまがいの言い合いになることはありました。でも、率直に言い合うから相手がどう思っているのかが分かり、お互いに通じ合える。それが理解し合える関係のベースになっています。
英子さん:今はほとんどケンカになることはありません。いつも仲良くお酒飲んでいます。それも隠さずに何でも話し合ってきたからかしら。
新吾さん:国家観や世界観、家庭の在るべき姿なんていうものまで、いつも酒を飲みながら話しをするね。こうやったらうまくいく、という秘訣はないけれど、率直に自分の生き方や考え方を話すようには心掛けています。一度に100%何もかもを話し尽くすことはないけれど、話し足りない部分が次の会話のステップになるし、そうしてお互いの意見を参考にして、認め合いながら生きている感じ。
英子さん:はい。「毎日楽しく」、これだけです。
──お互いに似ていると感じる共通点はありますか。
新吾さん:人生いかに生きるか。これは人として生まれた以上、誰もが考える永遠の課題です。家内とは、人としてどう生きるか、その価値観が一緒なんです。何が大切で、生きる上で大事にするべきことは何か。その点において、共通点が多々あります。彼女はものすごい読書家で、難しい本ばかり読んでいます。私も親父の影響で小さい頃からやたらと本を読んできた。ですから2人とも感受性が強いというか、何事もどうあるべきかと考えることが好きなんでしょうね。まあこの人は本当に読書好きで……。
英子さん:汽車通学をしていた学生時代は、汽車の時間までずっと図書館で本を読んでいました。端から端まで読んでしまって、最後はフロイトくらいしか未読の本が見当たらなかったくらい。時間を忘れますね。
新吾さん:だから、他人に対してどういう態度を取るかとか、広くは国家とか社会とかのあるべき姿とか……会話の内容も自然とそういうテーマになって、いろんな意見を言い合っていますね。そんな中でふたりの想いが深まっていく。あるいは共通認識となっているのかもしれません。
英子さん:そうですね。時々、話していておもむろに握手することがあります。「同感!」って言って(笑)。