──ご夫婦の間で決めてらっしゃるルールはありますか?

恵美子さん:年に1度は海外を旅すること。そして、お互いの両親を大切にすることです。旅行は私たちにとってチャレンジ。ものすごく体力を使う遊びに挑戦したり、言葉が通じない国や地域に行ったり。

ニックさん:私がアウトドア好きだから、彼女もすごくフォローしてくれるんです。2人ともバイクが好きだから、大型バイクに乗ってアメリカの西海岸や韓国の道も走ったね。他にも色々、いっぱいフォローしてくれる。日本では夫婦があまり一緒に遊ばないでしょう。特に外に出て遊ばない。すごく仲がいいかもしれないけど、男性だけ外でお酒飲んで、女性は家で待っていて……とか。それはちょっとさみしい。日本の文化は大好きだけど、夫婦に関してはもう少し西洋スタイルがいいんじゃないかなと思います。

恵美子さん:彼がいい意味でマイペースだから、一緒にいてラクなんです。私にとっては最高の遊び友達がずっと隣にいてくれる感じかな。常に楽しいですものね。

──夫婦ってなんだと思いますか?

恵美子さん:私の中では最小ロット。夫婦になると何をするにしても一緒だし、夫婦という最小単位がいっぱい広がっているのが世界、というイメージです。世界平和だってまずは自分の隣にいる人をハッピーにできないと始まらないものだと私は思っています。

ニックさん:うん。人間はカップルになる。それが自然なことじゃない?いろんなカップルがあっていいし、それも自然なこと。だって人間は一人じゃ生きていけないし、さみしいじゃない?仕事とか遊びとか……何をエンジョイするにしてもね。一緒に夢をシェアするのにも相手が必要だし、健康のためにも。

恵美子さん:そもそも平和なこと、仲のいいことが自然で、争っているのが不自然なのかもしれないね。

ニックさん:そうだね。1人で生きているわけじゃないから、何もかもが自分の想い通りにはいかない。だとしたら、相手に合わせるのも、自分のためにいいことなんじゃないかなって思います。

互いに寄りかかり過ぎない。
自分の足で立って、フォローし合う。
だから一緒に世界を広げていける。

──ニックさんのお話しに出てきた“フォロー”という言葉が印象的です。

ニックさん:相手に付き合う、従う、ついていく、サポートをする……いろんな意味があります。それは恵美子のことを信用しているから使うことができます。日本の社会やビジネスのことなど「これでいい?」と質問したら、恵美子から返ってくる答えはいつも正しいですから。あと、ケアをするという意味もある。彼女は常に私の行動を見てくれた上で動いてくれている。常につながっている感じだね。

恵美子さん:フォローし合える関係って、ちゃんと一人ひとりが自分の足で立ってるから成り立つんだと思います。相手に寄りかかり過ぎてもダメ。私の場合、ニックがエネルギーのある人なので、相手に寄りかかり過ぎると彼に飲み込まれちゃう。自分で立ってる一人同士が一緒になるから、広がる世界があるんだと思います。

──これから先、どういう夫婦でありたいですか?

恵美子さん:まわりにgiveすることも増やさないとねともよく話しています。そのためにも健康で、元気でいたいです。若い時は何でもチャレンジできるし、伸びる一方でしょ。でも年を重ねると、今まで通りに動けないところもぼちぼち出てくるわけです。次の日も動くために体をケアするとか、互いに弱ってきた相手のフォローをするとか、そういう次のステージにきた気がするんです。そういう過程は誰も教えてくれないでしょ。何事もなく穏やかに良い年を重ねていらっしゃるのかと思っていたら、実は違うぞと最近気づき始めたので、ニックのことも自分のことも、大切にしていこうと思います。

ニックさん:時々言いますね、上手に年取りたいって。恵美子の「あきらめたくない」姿勢は、私をひっぱってくれます。できるだけ楽しく、長く、アクティブな生活を続けていくのが共通の目標ですね。

インタビュアー/重村直美、木下英大(香椎宮) 写真/大塚紘雅

ニック・サーズさん サーズ恵美子さん

ニック・サーズさんはカナダ・トロント出身。1998年に九州・福岡の英語と日本語のバイリンガル情報誌「Fukuoka Now」を創刊する。恵美子さんとは、ご結婚前から仕事も遊びも共に楽しめる良きパートナー。おふたりは2007年にご結婚。現在は共同で多言語メディアの運営や、国際志向の行政機関や企業との共同プロジェクトに携わる。

Fukuoka Now 公式HP|fukuoka-now.com